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山病 14話

第14回(2006年10月28日・記)
世はまさに、第3次登山ブームのようです。
山を歩くと、大勢の登山者と出会います。中高年の方が殆んどです。
第2次登山ブームを創った人達が、また山に戻ってこられているのでしょう。
悲しいことに、山の遭難の報道もあとを絶ちません。
登山者が増えるのと同様に、山の遭難、山の事故も増えているそうです。
先日も白馬岳で、熊本の女性を含む4名の登山者が亡くなられました。

私も山歩きの楽しみを知ってから、1年半になろうとしています。
山歩きの始めの頃は、登山道が見えませんでした。
地図とコンパスで、山は歩くものと思っていました。登山道など無いと思っていました。
違いましたね。登山道があります。人気のある山は、登山道(踏み跡)がはっきりしています。
はっきりした登山道(踏み跡)を、外れない限り、道迷いの遭難は防げます。
踏み跡が無くなったら引き返す。これさえ出来たら道迷い遭難は防げます。
これが、なかなか出来ないのです。引き返すことが出来ないのです。
山の中で道迷いの経験をすれば、引き返す事が、いかに、難しいかが実感できます。

天候が悪くなり、ガスがかかって登山道が見えなくなったら、動かない。
ガスが切れて、踏み跡が確認できるまで動かない。
土砂降りの中を歩いたことはありませんが、土砂降りもガスと同じだと思います。
ガスが出ると、踏み跡が見えなくなります。動かないことだと思います。
時間に余裕を持って、山に入れば慌てることもありません。
踏み跡が、見えてくるまで待てばいいのです。
陽が落ちるまでに登山口に帰ればいいのですから。

山に登るには、読図力が必要だとも言われています。
読図力を身につけるには、見晴らしの良い所で、登山地図を広げ、
コンパス(シルバーコンパス)をあてると山の姿が、段々見えてくるようになります。
不思議ですね。山で登山地図(25000分の1)を広げることだと思います。

まず、谷と尾根が判るようになります。それから、等高線が見えてきます。
等高線が、色々教えてくれます。等高線の密な所と疎の所が見えてきます。
等高線が、尾根と谷、山の傾斜も教えてくれます。
山で登山地図を広げることです。広げて眺めていると、登山地図が見えてきます。
現在位置も段々と見えてきます。進む方向は、シルバーコンパスが教えてくれます。
シルバーコンパスは、たいした物です。使い方は説明書に書いてあります。
数回読むとコンパスの使い方が、判ってきます。
(私は100回近く読みましたが・・)
登山地図を広げ、山の姿が見えてくると、また山歩きの楽しみが増えてきます。
ツアー登山では、地図を広げる余裕は無いかも知れませんね。
たまには、単独行を楽しむ事だと思います。体力にあった山を選んで。

山の事故は、多くの場合下山時に起こっているそうです。
私なりに、その理由を考えてみました。
まずは、体力ですね。登るのに体力を使いすぎています。
登りの時に比べ、下山時は体力が落ちているのは、当然ですね。
私はこの事を、自覚していませんでした。体力は落ちていないと、思っていました。
体力が落ちているようには感じないのです。しかし、足は動かなくなってきます。
膝が笑ってきます。踏ん張りがきかなくなってきます。
これが、体力が落ちている証拠ですね。自覚していませんでした。

『魔の下りと4分の3』と言う言葉があります。その通りだと思います。
登山行程の3/4近くまで来ると、どんな山でもその山での疲れが、ピークにきています。
『4分の3』は、転倒、滑落などの事故が起こりやすい行程距離だと思います。
私は、この頃、この『魔の下り、4分の3』を頭に置いて歩いています。
単独行の場合は、事故を起こしたら終わりですから。終わり。



九重・スガ守小屋へ 硫黄山下の登山道

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