定年おやじの大英帝国ひとり旅 14

5月24日(日)  11日目  アラン島へ
アラン島は一泊なのでバックパック一つ。
パックに最小限の荷物を入れて、トランクはホステルのラゲッジルームに預けてゆきます。
ラゲッジルームに入ってビックリ。10人くらいコンクリートの床に寝ています。

受付の人が、「宿がどこも一杯というから、かわいそうなので泊めてあげた」 
ツイン72ユーロ、でも泊まれてよかった。
しまった、今朝は日曜の朝なので、ファーストフードもコンビニも開いていません。
今日はしばらく朝食にありつく様な所はありません。

駅に向かいます。駅前広場は宿からあぶれた若者達が野宿しています。
小雨ですよ。バスタオルを掛けて、出ている頭は女の髪。
彼女をいたわってか、男は服だけで、バックパックを背負ったままで、ベンチに寄りかかって寝ています。

5℃くらいには下がったはず。死んでない?
去年は、どこかは有るだろうということで、着いては当日宿を探しましたが、危ないところでした。
ツインの72ユーロでもありがたい。駅の売店は開いていました。コーヒーとトーストの朝食。

まだ時間があるので、列車やバスの自動券売機を触って遊びます。
26日はここからバスで離れます。
自動券売機の練習。列車もバスも日にちと時間によって随分値段が違います。

本数の多いダブリン行きのバスは、ウィークデイの朝5時なら、たったの10ユーロ。
列車なら48ユーロ。よそ者には不利です。
色々な券売機

アラン島行きの港ロッサヴィールまでバスで行きます。
船に合わせた不定期バスで、船会社の事務所前から出ます。
昨日、ツアーバス乗り場で嘘を教えられたので、ツアーから帰ってすぐ確認しました。

約50分。往復16ユーロ=¥2200港は港だけ。
周りには家は無く、所かまわず船に乗った人の車が沢山乗り捨ててあります。
次々に観光バスもお客を降ろします。
右側の船 客室

船は200t位の高速船。ほぼ満員。湾の内は波も静かでしたが、やがて、吹く降る。
窓は波に洗われます。私は一番前の、なにかダンボールの積んである傍に座っていました。
ダンボールが崩れて膝に乗り罹ってきます。一番前なので背丈くらい上下します。

なんで、わしが段ボール箱の守りをせんといかんの?段ボール箱を通路に蹴り出します。
何が入っているのか知りませんが、軽いので通路を後ろのほうまで滑ってゆきます。
尻は座席から浮き上がります。こんな時、日本なら皆黙ってシーンとします。

ここは、大きな揺れが来るたびに歓声が上がり、拍手さえ聞こえます。
波は治まり、まもなく到着です。船員がダンボール箱を売店に運んでゆきます。
あんな所に積んでいたということは、揺れる事はあまりないんでしょうね。

家内と一緒でなくてよかった。家内なら100%酔っていた。
そして、「あんたとは、二度と来ん」海上25`。波で遅れて1時間余。上陸。
ツアーバス、ロバ車、レンタサイクルの客引きがうるさい。

地図を見て想像していた通りの地形と景色。
宿は港から坂道を登ったあの辺りのはずだが。待てよ、昨日も違った。

ビジターインフォメーションで確かめよう。
違う、海沿いに東に5kmくらい行った、ほとんど島の東端。「うそー」もう一度、誰かに確かめよう。
ロバの御者に聞いが、判らない。

ツアーバスのドライバーに聞いたらやっぱり、島の東端。
あの、ゴールウエーのインフォメーション男は毎日こんな事ばかりしているのかね。
歩いてゆくのも嫌だし、明日の観光も不便。歩いていて、もし足がつっても、助けてくれる人はいない。

携帯は圏外。歩きは観光のために取って置かなければならない。
レンタサイクルも雨気味だし、第一返しに来るのが嫌。タクシーは無い。
ロバ車に行ってくれないか交渉。値切って20ユーロ。高い。

最後の手段はB&Bに電話して迎えに来てもらおう。その前に飯を食おう。
まもなく接岸 パブから 宿は湾を回って先の左端辺り

一軒のレストランは、シーズンオフだからなのか、日曜日だからなのか閉まっている。
パブは開いていた。ビールとサンドイッチ。天気は悪いし、窓からの景色も楽しくない。

港をぶらぶらしていると、ツアーの客を掴み損ねたミニバンのドライバーが、バスツアーに誘ってくる。
「観光は明日行く、今日はここのB&Bに行きたいのだ」と言うと、4ユーロ=¥550で行っていいと言う。
ラッキー彼も今日の収入0円よりは、いいでしょう。泊まるB&Bは道路から200m上った見晴らしのいい場所。

黒い大きな犬(フラットコーティッドレトリバー?)が飛んできました。
あまり飛びつくものだから、連れて行かれて、繋がれてしまった。
なんか、疲れた。一休みして、近くの見るところを教えてもらう。
明日のツアー はここに迎えに来てくれるというので、B&Bから頼んでもらった。
B&B 名前はゲール語なので解からない ツインだった

まず、東に行って、島の東端へ。潟地を行くと野ウサギが沢山います。
写真を撮るため近づくと、穴に逃げ込みます。穴は別に出口があるのでしょう。
そっと、待っていても出て来ません。東端まで2km位、宿より東には家は3軒あるだけです。

浜に出てみます。誰も居ません。鳥も居ません低い雲の下で、ただ波が打ち寄せるだけです。
「誰もいない海、・・・・・つらくても、つらくても、死にはしないとー」 つい、トワエモアの歌を口ずさんでしまいました。
そういう状況ではないな。曲を替えよう。

「誰もいない海、あなたの愛を確かめたくて・・・・・・・」篠山紀信夫人、南沙織の歌です。
これも違う。結論から言って、誰もいない海は60オヤジにはミスマッチ。
居場所が無くて、誰もいない海の浜辺を徘徊するのなら似合うかも。
ウサギの穴 径15センチ 誰もいない海

来た道を戻って、宿の下を通り過ぎて西に向かいます。山の上に壊れた教会が見えます。
教会に興味があるわけではありませんが、あそこまで行けば、きっと大西洋に面した南西海岸が見えるはず。
細い道を進むとやがて、道は消えて、石積みの囲いを乗り越え牧草地を進みます。

草は生えていますが、下は大きな石ころで歩き難いこと。
ところどころ牛が寝そべっています。大きな種牛もいます。
目が合います。あの牛はヤバイ。これ以上進むのは無理。諦めて帰ります。
左上が行き着けなかった崩れた教会 この牛はB&Bの飼い牛

どうも、ここに来て、方向感覚がおかしい。
強い南西風を避けるためでしょうか、家が北東に開口しているせい?
ずっと天気が悪く、あまり太陽を見ないせいもあるでしょう。

私の体内コンパスは、時々太陽に当たる事で補正されるのでしょう。
その体内コンパスがおかしくなると、気分もマイナーになる。
私の場合、そのコンパスが水平の360度の盤のようになっていて、
それと縦に斜めに交差する形で一年の環があります。
もっと詳しく言うと、盤は透明です。盤の中心からのオーラのような立体の空間があります。

環は縁があり、半分は盤の下にあります。環はシンガポ−ル行った時は垂直に立ちました。
スコットランドに行った時は30度近く斜めになります。
かといって、夏と冬で角度が変わる感じはありません。

出来事や天気、記憶もその環の中に納まってゆきます。
年がたつと、環からはなれてオーラのような空間に放出されて、小さな星というか点になります。
記憶をたどるのは、最近のことなら、環からすぐ出せますが古いのは、
盤(方向)と環(時間)から検索して、空間に在る点を探し当てます。

年数とか、九九とか描きにくいものは環の中に入り難いのでしょうね。
逆に形のあるものは入り易い気がします。
水平の盤が狂って、さらに自分のいる緯度が変わると、縦の環まで軟弱になるようです。

子供の頃はその環が誰でも共通なものと思って、
「斜め上にある000が」とか言って、人に首を傾げられていました。
そして、偉い仏や神様は多分環が大きくて頭の中に入りきらなくて、頭の後ろにあるのかなあと思っていました。

少し大きくなって、環や盤は其々環境が違うのだから、違うということは判って来ましたが、
盤と環を誰でも持っているものと思っていました。

思春期になって、深い話を友達と話し出して、初めて、そうでもないらしい事に気付きました。
その後、人に「馬鹿」と思われるので封印してしまいました。もう、気にならない歳に成りました。

も少し経って話すと「痴呆」と思われるので、今封印を解きます。
もしも、私と同じようなを持っている方はお知らせ下さい。
バヵーンかい?を結成しましょう。

話を戻します。ホステルに戻る途中、長い二又の槍で土を突いている人がいました。
たまに、槍にウサギが付いて上がってきます。耳を掴んで掘った穴にポイ。
あれだけ、ウサギがいると、全部野菜は食べられてしまうでしょう。

ウサギは害獣なのです。昔は食べていたのでしょうが、今は、毛皮を取る価値も無い。
B&Bのすぐ前は墓地になっています。ほとんどがローマンカソリックだそうですが、詳しい派は知りません。
ただ、墓は単なる十字架ではなく、丸に十の字の薩摩藩紋に似ています。

確か、この丸に十の字はスコットランドのスカイ島でも見たような気がします。
帰ると、ホステルの子がアコーディオンの練習をしていました。

アイルランドのコンサーティーナという六角形のアコーディオンではありませんが、
アイルランド人は、皆アコーディオンが好きなそうで、学校で習うそうです。
丸に十の十字架の墓 B&Bの子

「アラン島の星空は十倍綺麗」らしいのですが、今夜は残念ながら星は見えません。

5月25日(月) 12日目 アラン島へ続く

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